二重人格神様



海鈴さんが?


「またまた、だって…」



海鈴さんは…その時、違う誰とかと…



「事実ですよ。信用ならないならフェイ様にも聞いてみたらいかがですか?大切な任務中でしたのに、制止の言葉も聞かずにいのり様を探したんですから」



「………」

ほ、本当に?じゃあ、あの時息が乱れてたりしたのは…本当に急いで来てくれたからなの?



ライの言葉は嘘で、それが事実なの?



「………」


それが、本当なら…凄く、嬉しい…


胸がくすぐったく、無意識に口元がニヤつく



「嬉しそうですね」


「え?!」


「いのり様は、海鈴様のことを好きになったんですね」



「…………え?」



好き?


思いもしなかった単語


「なにを、好きじゃないよ。妬きもちでもないからね!」


好きじゃないよ。絶対、絶対…



「そうですか…」


「う…ん」




好きなんかじゃない


好きなんかじゃない


だって、私は恋愛をするためにここにきたんじゃない


みんなを守るため。時間が立てば人間界に戻るんだもん



それに海鈴さんは神様だ。私とは別世界の存在



そんな彼を好きになっても…報われない


ルーテルさんや他の花嫁もいるし…




「… 」




だけど、なんでだろう。アレスが言った好きって言葉が頭をうめつくしている



好き、なの?わたし……




わからないよ。そんなこと…





それから私は、そのことばかり考えながら入浴を続けた














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