天使の瞳

「ちょ、どこ行くん?」

「肝試しやて」

「はぁ!?」


晃くんが言った言葉にあたしはもの凄い声を上げる。


「え、嫌やってマジで!!」

「昨日な先輩に聞いたら一緒に行くっつーから待ち合わせしてんねん」

「はぁ!?何でそんなんするん?」

「いや、聞いたら行くっつーから」


タクは運転しながら山道をズンズン進んで行った。


「え、本間嫌やってば!!なー、千穂?」


焦った声を出しながら千穂を見ると、千穂は少し興味津々なのか顔に笑みを作ってた。


「大丈夫やって。あたしらだけじゃないんやろ?タクの先輩とかも来るんやし怖いもんなんてないやん。皆で行けば怖くないっての」

「そー言う事じゃないねん。あたし、そー言うの本間無理」

「じゃあ音羽、一人で車におる?」

「それも無理」

「ほらな。じゃあ行くしかないやん」

「えー…」


街灯すらない山の坂道をズンズンと登って行く度に心臓がバクバクした。

小学校の時、肝試しーってのをした覚えがある。


あの時でさえ嫌々恐怖をあじわって行ったのに…


何でこんなに恐怖におびえる事が皆好きなんだろうって思う。



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