年下の不良くん
「うん、チョー満足」
真っ赤な顔の私の頭を優しく撫でてくれた
「…う、ん、じゃあ行ってきます」
ニコニコと微笑む彼を残して、私は逃げるように家を出た
「ふぅ、なんだか朝から疲れたな…」
待ち合わせの駅に着くと優美は既に来ていて、そして何故かその隣には、武蔵くんが立っていた
「おはよう、優美…
えっと…何で武蔵くんも来てるのかな??」
呼んだ覚えはないし…
「あぁ、着いてきたいって言うから
いい??」
「りりかちゃん!!
俺がいたらアイツの好みがアドバイス出来ます!!」
「え、あ、うん、そうだね」
すごい意気込んでる、武蔵くん
「じゃあ、行こっか」
優美はそう言うと先に歩きかけたので、私もその隣に行こうとしたら
「優美と少しでも一緒にいたくて…
邪魔してごめんなさい」
とさっきの意気込みはどこへやら、小さくしょぼくれた武蔵くんによって足を止めた
「そんなの全然いいよ~
私こそ、なんかお邪魔じゃない??」
冗談交じりに言ったのに、武蔵くんは本気で“そんな事ない”と言った
「ふふっ、やっぱり武蔵くんと翔くん似てるよね」
「えぇ~、んな事ないって
俺いっつもヘラヘラしてっけど、アイツはんな事ねぇし」
「似てるよ??
好きな人に対して、素直で一途なところとか
今朝もね、寂しいから行くな、ってすんごい止められたんだよ??」
何故かこんな話を口走ってしまった
「なんだよー、結局ノロケッスか~??」
「えっ、そんなつもりはないの!!
違うよ!?
ただっ、二人が友達ってだけあって、考えること似てるな、って言いたかったの!!」
「あはは!!
んなムキになんなくても!!
冗談だって…!!!」
なんて言ってお腹を抱えて笑う、武蔵くん
「もぅ~」
「はぁ~、お腹痛い…
うん、けどホント、翔が毎日楽しそうなの、わからなくもねぇな
あ、優美とあんなに離れちまった!!
りりかちゃん、走れ!!」
すると、私の手を取って走り出した
相変わらず優美は歩くのが早いから、追いつくのに息が上がっちゃったよ