年下の不良くん
第二十二章

早朝から起きて、翔くんへの最後のた朝食を作った

一度また寝室に戻って、最後に彼に会う

まだ朝方なので熟睡している翔くんに

「バイバイ、翔くん…」

そっとキスをした

テーブルの上に置き手紙を置き、荷物を持って静かに家を出る

篠原さんとは、駅前に6時に待ち合わせであった

時間を早くしたのは、彼と離れる事が名残惜し
くならない為に、だ

…どっちにしろ後ろ髪をひかれる思いは変わらないのだが…

駅まで道のりは、とても長く孤独でだった

今にも溢れ出しそうな涙は、何度も立ち止まってはグッとそれを堪えた

泣いてはいけない

この言葉をいったい、何度呟いた事だろうか──

「おはようございます」

駅前のベンチに、一人でぼーっと待っていると、後ろから声を掛けられて振り返る

「あ、篠原さん
おはようございます」

「お荷物、お持ちいたします」

私の手から荷物を持ってくれて、この間と同じ車に乗り込んだ

< 150 / 408 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop