年下の不良くん
第二十八章
─翌日─
昨日、春樹が言ったとおりに、時間は過ぎた
昼から春樹の会社に連行され、彼の仕事の合間に話し相手に…
夕方になり、爽さんが車を出して下さって、優美と待ち合わせの場所へと向かう
「──優美ちゃん、って言うんだね、その子」
後頭部座席に座る私の隣には、終始笑顔の春樹が鎮座していた
本当は私だけで行くつもりをしていたのだけど、春樹が仕事があるのに着いてきたの…
どうやら、優美が気になるみたい
「うん、親友なの」
そう平然と答えるも、内心は“仕事はしなくていの??”と心配で仕方がない
だって、会社を出るときに、爽さんが怒ってたから…
「りりか、着いたぞ」
着いた場所は、優美の近所にある公園
昔はよくここで二人で遊んだものだ
久々の地元に、懐かしい公園に、私は郷愁にかられた
車を降りて公園を見渡すと、冬の薄暗い景色
中に男女の二人の姿がベンチあった
寒い中、こうして自分の為に待ってくれていると思うと、なんとも忍びない気持ちになる
「優美、お待たせ」
数日ぶりの親友の笑顔は私を安心させた
それと同時に、隣にいる武蔵くんを見ると、気にしていないふりをし、自分の気持ち偽り、逃れていた想いを引きずり出されたのだった