年下の不良くん

爽さんが運転する車が着いた場所は、都心にある有名なホテルだった


ホテルの正面玄関に着くと、ホテルのクルーがドアを開けると、先に出た春樹が手を伸ばしてきた


私がその手を、おずおずと握ると、ふわりと彼は微笑み、力強く握り返してくる



きっと春樹は、既に私が緊張しているのがわかっているのだろう


気づかれないようにしてたんだけどなぁ…


しかし、悠長な事が考えれたのは、まだ気持ちに余裕があったからだ


ホテルのクルーが案内してくれた場所に着いた時には、私の緊張は目に見えるほどにわかるものに変わっていて、二人から何度も心配される


「りりか、大丈夫だからね
俺や爽は絶対、傍から離れないから」


「しんどくなったならば、直ぐに伝えろ
無理は決してするな」


「う、うん…ありがと、二人とも」


二人はどうも、このパーティーとやらに慣れているらしく、いつもと何ら変わった様子はない


私だけが緊張していて、本当に情けない…



ホテルのクルーの方が、大きな重たそうな扉を開けてくれた先を見て、私はもう既に、キャパオーバーしそうになった




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