年下の不良くん

少し沈黙が続いた後、春樹が口を開いた


「……ねぇ、りりかは今の生活に満足してる??」


「えっ??
??…うん、満足しているよ??」


春樹からは、いつもの陽気な雰囲気は無いので、どれ程の真面目な話があるのかと思っていたのだが、予想外の質問にびっくりする


そう答えたのだが、いっこうに春樹からの返答は無く、私は付け加えるように言った


「父の勝手に付き合わされたのに、私に何の不自由のない生活をさせてくれてる
本当に感謝してるんだよ??」


これ以上に、何かを求めてしまったら、罰当たりな気がする


私の言葉を聞いた春樹は、だんだんと俯きになったのだが、顔の前で作っていた握り拳をぎゅっ握りしめて、何かを決断したように顔を上げた


「………ごめん、俺の聞き方が悪かったね
りりか、正直に答えて」


「う、うん…」


「今の生活がもし、変えられるなら変えたい??
それとも、このままがいい??」


そう言った春樹の言葉はまるで、今の生活から抜け出してもいいと言っているように聞こえ、聞き間違えでは無いかと思った


「…君が…りりかが元の生活に戻りたいと言うのなら、俺は反対しない
だけど、今のままでいいのなら、俺は素直に嬉しいよ」


真っ直ぐと見詰められる春樹の綺麗な瞳からは、嘘などついていない


自分がずっと待ち望んでいた事が、進もうとしている




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