年下の不良くん


私の部屋に入ったらまた、蒼汰くんは隅っこの方に行ってしまうのかと想像していたのだが、このホットケーキが気になっているらしく、私の隣にちょこんと座った


くりくりのお目めで物珍しく、じーっとホットケーキを見つめる蒼汰くんは、ホットケーキを食べた事がない訳ではないだろう


それにこれは至って普通のホットケーキだ


「ねぇ、蒼汰くん
一緒にトッピングしようか」


「……トッピング…??」


「うん、そう
こうして、この苺を蒼汰くんの好きな場所に置くんだよ」


先ほど、料理長から受け取ったトッピングの材料は頼んだ分よりも種類が多くかった


苺に蜜柑の缶詰、キウイにバナナ、生クリームにそれにカスタードまで、いったいいつ用意出来たのかと不思議に思う


「…どこでも…??
いっぱいいいの…??」


「うん、もちろんっ
好きなだけトッピングしていいよ」


私がそう言うと蒼汰くんはしばらくの間、どれをまず先に乗せようかと品定めをしてから、慎重にトッピングを始める



蒼汰くんの横顔は生き生きとしていて、初めて見る表情だった




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