幸せになりたい
『健太郎・・・私、わがままだよ…
 私だけ見てくれないとすねちゃうよ…』

「お前だけ見てるよ。俺をこんな気持ちにさせんのお前だけ。」

『けん・・・』

私が健太郎と言う前に、健太郎の唇が私の言葉を遮った。

触れるだけの軽いものから、
次第に深いものへとなった・・・

溺れる…その言葉がぴったりだと思った。

今まで、男をただの飾り物のように見てきた私にとって、
どうしていいのかすべをしらない。


唇が離れたとき・・・

『私、どうやっていいのか分かんない・・・』

そう告げると・・・

「俺がお前を幸せにしてやるから・・・
 俺だけ見てればいい。俺から離れるなよ。」

そう言い放った。


それは、私が一番欲しかった言葉。
私だけを見続けて、そして愛し続けてくれるという言葉。


男を信じられなかった私にとって、こんなにもうれしい言葉はない。

この言葉を信じてこの手を離さなければしあわせになれる…


私は幸せを感じていた。


「そんな顔すんなよ。抱きたくなっちまうじゃねーかよ」


『健太郎・・・抱いて・・・・・』


健太郎は私の言葉に答えることなく・・・

私の手をひいてお店を後にした
< 54 / 58 >

この作品をシェア

pagetop