光の射す方へ


「宝来くん、私、上原リカ(ウエハラリカ)って言います。ここでバイトして、1年位なんだけど、分からない事があったら、何でも聞いて下さいね。」



私が話しかけても、歩太は返事をしない。



その時は、ただ緊張してるんだって思っていた。




「おはよ〜。」


「あっ、美月おはよう。
今日からのバイトの宝来くん。」



バイト仲間の美月に歩太を紹介した。


「沢村美月(サワムラミツキ)です。宜しくお願いします。」



美月が挨拶をしても、歩太は変わらず下を向いたままだった。



美月の表情が、明らかに不機嫌になっていくのを、隣で感じながら、私は歩太の事を見た。歩太の顔から、歩太の感情を読み取る事は出来ない。





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