地球の三角、宇宙の四角。


枕元にある僅かな灯りに照らされた伏見がちで、綺麗な女性のように見えた老人の顔は、水に映る月が、だんだんと雲に隠れていくように、覆い被さる裸の大きな背中で、見えなくなっていった。

ピッタリとしたジーンズに包まれた背中から生える二本の足が力をなくした昆虫のように、ゆっくりと動く。

老人の手を握りしめた男は、自分の顔に持って行くようにして愛おしく目を閉じた。指をクチに含んだり、少し噛んだ後に「痛い?」と、訊いて少し笑った。

両手を握って自分の胸に抱え込むようにしたまま男は、額を老人の胸に押しつけた。

しばらくそのまま、背中を丸めて男は額を胸に押し続けていた。

その姿は卵を温める母親のようでもあり、まるで何かに懺悔をしているようにも見えた。


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