地球の三角、宇宙の四角。
その日は、庄谷課長と幸村さんと私とで遅くまで仕事をした。

庄谷の野郎は20時をすぎたあたりで指示だけ出して帰って行った。

よくよく話を聞いてみると別に今日でなくてもよかったのでは? というもので、課長は残業代でも稼ぎたかったのだろうか。
私は小説の続きが早く読みたい一心で地味な入力作業をコツコツとこなしていた。Enterキーを押すのにいちいち力が入る。

それにしても、こんな遅くまで仕事したのはいつぶりだろうか。このままのペースでいくと22時すぎには荒いかもしれないが終わりそう。や、荒くてもいいから終わらせたい。


「キノさん終わりそう?」

「え? あ、はい。もうじき、こいちじかんハンぐらいで!」

キノさんという呼ばれかたにビックリした。
小学生の頃きのっぴとか呼ばれてたんだけどキノさんというのは新鮮だなぁ。

「なによ、こいちじかんはんて!」

と幸村さんの眼鏡の奥の目が、優しく細くなった。

まつけが長い!ズルい! 綺麗。そしてかわゆい!

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