地球の三角、宇宙の四角。
「みんなそうよ、わたしも全部を理解してるだなんて思ってもいないし」

「みんなですか?」

「あなたは、調べようとした?」

「いえ」

なぜ質問攻め?

「なんで、ころころ人が替わるのかは、想像つく?」

白髪交じりのダンディ。山田課長の顔が浮かんだ。

「いえ」

「知りすぎるとイケナイからよ」

「いけない?」

「そう。アタシが本社から追い出されて、こんなところ、こんなところと言っちゃ、あなたには悪いわね」

「いえ……、追い出された?」

「追い出されたようなもんよ。知りすぎた人間はね、力を持つの。

力は、いいふうにも悪いふうにも使えるの。 そして、力を持った人間はね、それを使ってみたくなるの」

「チカラですか?」

抽象的で意味がよく分からないが、賢そうな顔を作って感心したように返事をした。

「それは下っ端のわたしや、あなたにしてもそう。

うちの会社はカメラのレンズやセンサー以外に軍事産業も扱ってて会社の利益のメインは兵器の開発だったりするの」

「ほんとですか?」

「うそ」

エレベーターの時と同じ顔だ。

「またぁ」

「そう考えた方が面白くない? これ、国家機密だけどね」

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