地球の三角、宇宙の四角。
立ち止まり威圧感のある低い声で

「出来てないってさ、どういう事?」

と、だけ言って私の近くで、歩みがゆっくりになった。


フロア全体がピリピリとする。


まさかしょうゆさんを読んでいましたとは答えられまい。

「す、すみません…」そうだ。これしかない。してないもんは、してないんだよ。通りすぎろッ!と、反省のオーラを出すスイッチを強に切り替えて、うつむきながら強い念を送った。

舌打ちをして自分のデスクまで歩いていったのか、うつむいたままの私はその遠ざかっていく足音に安堵した。

足音が止まり、グシャァアと必要以上に大きな音を立てて座ったのだろうか、ほんと、いけすかない。ちょっと仕事が出来るからって何サマだ。若いくせに課長様か。そうか。

社内ボーリング大会の時にはじめて見たヤツの私服は、古着でもないネルシャツのボタンは全開で、のぞくTシャツはチャンピオンのデカいロゴで、それにサイズ感のおかしなジーパン。

まるで浪人生みたいだったくせにな。なにがチャンピオンだよ。チャンピオン社には何も罪はない。いい迷惑だよ逆宣伝だっつーの。泉ピン子もシャネルから勘弁して下さいと言われるよっ!

ほんとに!

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