ランジェリーの誘惑
左肩に置かれた手。
働く人の手をしている彼。
私はその手が好きだ。
頑張っていることのわかる手だから。
そして、その手が私をふわりと包む。
手の動きにあわせて、長い吐息が出てしまう。




「どうしたの?」




彼が余裕のある眼差しで見つめている。
私は眉間に皺を寄せながら、薄目を開けて彼を見つめて小さく首を縦に振る。




「ちゃんと、言って。」




恥ずかしくて言えない私を、彼は更に弄ぶ。
呼吸が荒くなっていくが、どうしても言葉に出せない。
吐息の方が私よりもずっと正直におねだりしている。




早く、と。
早く、早く、もっと触れて欲しい。
搾り出すように、恥ずかしさを堪えて声にする。
居た堪れない気持ちで、瞳をぎゅっと閉じて彼に伝える。




彼の両手が、スリップの滑らかさを確かめるかのように身体のラインをなぞり、湿って色合いが深くなった部分が晒された。
スルスルとした布地の感じが、心地好さを掻き立ててゆく。
仰け反る首筋が、声にならない声をあげる。
私から女の匂いが放たれてゆく。
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