奇跡事【完結】




「……はあっ」



どれだけ歩いただろうか。
かなりの日数歩いた気がする。


それでも、俺はただ真っ直ぐに東へと向かった。


闇雲に歩いたって無駄なのはわかってる。
だけど、どこにいるかなんてわからない。


それなら探すしかない。


マヒアから東に真っ直ぐ向かい最初に辿り着いたのは洞窟だった。
この奥にもしかしたらいるかもしれない。

俺は近くに生えていた木の枝を折ると、それに火を点けた。


中へと足を踏み入れた俺は辺りを照らし出した。
薄暗い。奥は真っ暗だ。

特に何も見当たらない。
行き止まりじゃないといいが。


ゆっくりと慎重に進んで行く。


暫く奥まで歩いていた。結構深い場所まで来た気がする。
だけど、出口は一向に現れない。


「あれー君、誰?」


突然、そんな声が頭上から降って来た。

< 273 / 446 >

この作品をシェア

pagetop