奇跡事【完結】
次に俺の元を訪れたサーシャは本当にトライシオンを隣に連れていた。
サーシャよりも頭二つ分ぐらいは大きいその人物は、立派な大人の男性だった。
だけど、綺麗なその瞳は変わらない。
多少なりとも面影は残っていた。
「サーティス、兄さんなのか?」
「ははっ、兄さんか。そうだな。もうお兄ちゃんって呼ぶ年齢ではないな」
「そうだよ、流石にそこまで可愛くないだろう。僕も」
「そうだな」
ははっと笑い合った俺とトライシオン。そして、サーシャ。
昔に戻ったみたいだ。
このまま、こうして笑い合えればいいのに。
俺は二人と話ししながらそんな事を思った。
だけど、その願いを邪魔するのはやっぱりあの女だった。
「サーシャ、先に帰ってくれ。僕はもう少し兄さんと話していくよ」
「わかった!あんま遅くならないでね」
「ああ」
サーシャは手を振ると、この場から去っていく。
二人きりになり、トライシオンは俺を正面から見据えた。