奇跡事【完結】



……きっと、最初からこうするべきだったんだ。


俺がトライシオンを拾って来て、そしてサーシャと出会ってしまったから。


それなら、俺はもう一人でいい。
後で母親も殺しに行こう。


そうすれば誰も苦しまない。
俺が苦しいだけだから。



俺が苦しめば済む話だから。



俺はそうして、輪廻転生するサーシャを何度も何度も何度も何度もこの手にかけた。



その度に、心は引き裂かれる様に痛んだ。
苦しくて、苦しくて、辛くて、息をするのさえ辛くて。


亡骸を抱き締めては、涙を流した。
そんな資格俺にはない。


ないのに、涙は勝手に溢れて出て来る。



だけど、そんな事をもう数百年続けて来た。


この手にかけた回数なんて覚えてない。
もう、輪廻転生なんてしないでくれ。


そう、思うのに。

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