奇跡事【完結】


「ここで待ってるね。中に入ったら僕はいなくても平気だから」

「……勝手なヤツめ」



カタラが憎々しそうに、呟いた。
すぐに踵を返すとカタラは先へと進んで行く。


「え、行くの?」

「ああ。説得する時間が無駄だ」


確かに、ここでパチフィスタに行こうと言っても無駄だろうな。
その姿が容易に想像出来る。


カタラを先頭に僕達は神殿の奥へと進む。


透き通ったクリアな壁が延々と天井にそびえていた。
傷や汚れのないその床を、カツンカツンと音を鳴らしながら歩く。


僕達以外に誰もいないのだろうか。


足音だけが反響していて、不気味だ。
透き通ってはいるけど、外の光を通さず、薄暗い中。
それが更に不気味さを際立たせていた。


部屋の数も多いし、とにかく広い。
外観からは全くわからなかったのに。


一人だったら迷子になる自信があるよ、僕。

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