夏とおじさんとアイスクリーム


「おいちゃん当たりが付いたのはどっちかなあ?」



最初の頃にお兄ちゃんと呼べと言ったが無理だった上キイチは、僕の名前さえも上手く言えない。



良一が僕の名前だがなかなか発音が難しいらしく困った時には、キイチのおいちゃんと呼ぶ。



キイチのおいちゃんいや僕は、答えてやる。



「当たりが付いたのはそっちだよ。」



そう言いながら袋に入った棒アイスを指指す。



キイチは、最近当たりにはまっているので棒アイスの方を開けた。



妹つまりママは、キイチにいっぺんに二つは、駄目と厳しく言っている為にキイチは、いつも悩む。


キイチにとってママは、絶対的な存在でママの教えには、滅多に逆らわない。



まるで、二等兵と大佐くらいの関係がそこには、厳然とあった。



キイチにとっては、おじさんは、同じ二等兵かおじさんの方が後から入って来た二等兵のような感じだった。



ママのお兄ちゃんだと言う事を最近知っても驚いた顔は、したが関係は、全く変わらなかった。



ママが遅れて父親と母親と一緒に帰って来た。



「キイチ、手を洗った!」



大佐いやママから厳しい言葉が飛ぶがキイチ二等兵は、洗ったよと僕の方を向いて言った。



最近キイチは、ママの見ていない時には、時々こうして嘘をつくようになった。


明らかにおじさんに同意を求めている為僕は、仕方なく洗ったよねと言った。



この日もアイスを食べ終わるとキイチは、ライダーごっこしようと僕を下僕のように庭まで引っ張って行き散々やられ役を僕にやらせて、次は公園と言って僕と公園でサッカーや駆けっこをした。



さすがに五才になると三才や四才の時よりもパワフルになってきていてこちらは、衰えて行く体力な為に疲れた。



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