こわれもの
掘ごたつ式のテーブル席に通された二人は、向かい合って座ると、適当に肉や海鮮類を注文した。
メインの肉より早く運ばれてきたジョッキ2本の烏龍茶。
そのうちの1本をアスカに手渡し、ヒロトは嬉しそうにこう言った。
「女の子と二人でご飯なんて、久しぶり」
深い意味はないが、アスカはそれを素直に信じなかった。
“ウソだー。
ヒロトさんほどカッコよくて優しい人を、他の女の人が放っておくはずナイよ”
だが、思ったままを言えば変な誤解をされかねない。
「ヒロトさん、仕事の人とはご飯とか行かないんですか?」
そんな質問で、はぐらかしてみる。
「行くけど、さすがに女の社員と二人で来ることはないな。
ていうか、仕事の人間なんてしょせん仕事の関係でしかないし」
穏やかな口調で冷めたことを言うヒロト。
アスカがそれを意外に感じていると、
「つーか、アスカって、社会人事情詳しいな」
「中学の頃、お母さんがそんなようなこと言ってましたから。
お母さん、ずっと正社員で働いてたんですよ。
社員とのご飯とか、面倒でも付き合わなきゃいけない時もあるって」
ヒロトにつられたワケではないが、アスカも冷めた物言いになる。