翡翠幻想

 懐から布袋を取り出して、翡翠と形見の玉とを握り締める。

(どうか、姐姐をおまもりください)


 叔父夫婦は、桂桂を今までにも増して酷に扱うようになった。

 下賜された宝物で豊かになったはずなのに、桂桂には相変わらず粗末な食事しか摂ることを許さず、衣服も虫食いの穴が開いているようなものを与えた。

 桂桂は黙って耐えた。

 姐がいなくなって以来、彼はほとんど喋らなくなった。

 ただ、一人の時間を見つけては、布袋を取り出し、姉の為に祈りを捧げる。

「姐姐を守ってください、助けてください。お願いします」


 その祈りが通じたのかどうか、ある朝、桂桂がすっかり自分の仕事となった水汲みをしていると、あの青と名乗った男が再び現れたのである。
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