『若恋』若恋編
苦しげに浅く呼吸する彼女を見ていると胸が苦しくなってくる。
痛みでギュッと目を瞑る青ざめた横顔に息苦しさを覚える。
「若、血が、」
榊にかけられた声でハッと我にかえった。
今感じた痛みはなんなのか、息苦しさはなんだったのかわからずにただ榊を見返した。
「若、血が、」
「あ?ああ、俺は構わない」
血が付くのはどうでもよかった。
そんなのは構わない。
スーツに血が散っているのを見た榊に、彼女を抱き取ろうと伸ばした手を断った。
「痛むか?待ってろよ。すぐに医者に診せてやるからな」
焼けつくような痛みで頬を歪める彼女を一刻も早く成田に診せたい。
「車はまだか?」
「まだ到着しません」
腕の中で小刻みに体を震わせる。