『若恋』若恋編



『―――殺す』



『殺れるものならやってみな』

『殺す!』



叫び狂う。

咆哮を上げた。

口の中から鉄臭い生臭いものを吐いた。



『一瞬で血を吐くほどてめえの女を愛してたんだな』

ヒッヒッ


『バカじゃねえのか、てめえの女の代えぐらい掃いて捨てるほどいるだろが』

ヒッヒッ



蔑む笑いが辺りに響く。


真っ白い空間が捻れて歪む。
グニャリと床が沈む。



『命より大事な女なんだ』


ゆらり。

暴れて無茶苦茶に暴れていたりおを抱き締めて沈む。
涙の渇れ果てたその頬に血を拭いくちづける。



『や、』

『俺だ』

『……そ、うさ、ん』

『ああ』


気がついて欲しくなかった。
こんな俺に。
こんな時に。





『や、』

気づくな。正気になるな。

りおの腫れた瞼が。
赤く染まった瞳が。
色を映し出す。


ゆっくりと首を巡らして―――






『い、いやあああああっ!!』




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