『若恋』若恋編
「その時は俺を止めてくれねえか」
真っ直ぐに榊を見ると榊は首を振らなかった。
「若はもう抑える必要はないと思いますよ」
「?」
「いえ、こちらの話です」
寂しそうに呟く榊の意味がわからなかった。
「さあ、若。成田が待ってます。行きましょう」
促されて車を降りた。
なあ、榊。
おまえはわかるだろうか?
いずれ俺はりおを傷つける。
その時に永遠に失うものの大きさに怯えてるということを―――