『若恋』若恋編
熱
「これから手術するが」
成田が静かに告げた。
手術するから邪魔だ出ていけと言うことだ。
「このまま居ちゃいけねぇか?」
俺を庇って怪我をしたんだ。
無事に手術が終わるまではそばにいてやりてぇ。
「果たしてそれだけの理由か?」
ビクッ
「いや、何でもねえよ。奏坊っちゃん、そこの手術着取ってくれ」
目を細め意味深に口の端を上げる成田に心の奥底まで見透かされたようだ。
「成田、」
言いかけて。
バンッ
「あ、来たか」
肩越しに振り返ると成田の後輩の女医がいた。
「じゃ、消毒したら始めようか」
「麻酔が効いたら始めよう」