『若恋』若恋編
「…学校へ行くのが危ない?」
「………」
「どういうこと?りお」
樹と紹介された男の視線がすっとりおに移る。
「え?」
「ねえ、りお。どういうこと?学校に来るのが危ないくらい、何かあんの?」
「え?あの…え?」
りおの瞳が揺らぐ。
戸惑い俺を見て、樹を見る。
「どういうこと?りお?」
「………」
「りおをケガさせただけじゃなくて、まさか、狙われてるとか言わないよな?」
「!」
金槌で頭を殴られたような衝撃がした。
ケガさせた。
狙われてる。
それは俺と関わったからだ。
俺に言っているのだと。
ケガさせただけじゃなく、これからも狙われ続けるのかと。
「……りおが俺を庇ったことで、周りにはりおが俺の女じゃないかと勘違いされてるんだ」
「え?」
「俺には敵が多い。安全な学校生活、送迎が確保されないうちは行かせられねえ」
「え、あの。奏さん?」
りおの見上げる瞳が揺らぐ。