『若恋』若恋編



俺がりおと出会ったのは4月半ば。

そして今は5月半ばだ。

ケガをして一月ほど。その間一度も学校へは行っていない。

なのに。



「ギプス取れてよかったな。じゃあ、明日から学校来れるんだろ?育子と照代にも伝えとくよ。今日の夜にまた電話する」

「うん、わかった」

「!」



一気に頭に血が昇る。


「若!」


親しげに話すふたりの間に割り込んでりおの肩を引いた。


「……そ、奏さん?」


榊の荒げた声と割り込んだ俺にりおが驚いて瞳をあげた。



「悪いが明日の登校はまだ無理だ」

「奏さん?」

「身の安全が確保できるか確かめてからじゃねえと学校には行かせられねぇ」

「奏さん」



りおを挟んでふたりの間に火花が散った。

気づかないのはりおだけ。

樹と言う青年が眉根を寄せた。


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