褐色【密フェチSS】
午後のホテルで


水が滴る。
髪の先から垂れた水滴が
ツーッと肩越しに滑り落ちる。

バスルームから出てきた彼。
ベッドでひとり待つあたしを
満面の笑みで元気づけてくれる彼。

「シャワー気持ちよかった?」
ありきたりの質問を
ありきたりの声色でつぶやいてみる。

でも、実は......
喉はカラカラ。
心臓はバクバク。
あーヤバイヤバイ。
この心の昂ぶりマジでどうにかして!

褐色。
彼の肌は、まるで現像前の印画紙のよう。
トースト色の首筋、錬鉄のような胸板、
獲物を追う豹のような脚。
そしてそして......

太陽のエキスをたっぷりと溜め込んで
全身の筋肉をみなぎらせて
今日もあなたは輝いている。
あーあたし、やっぱりあなたが好きだ。


ほんとは今、二人とも仕事中なんだけど。
「プレゼンに行ってきまーす」なんて大嘘
ついて、また途中駅で降りてしまって。

ごめんね、会社のみんな。



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