純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 私が桐生さんに誘拐されて監禁されてから、すでに……10日という日時が流れていた。時が流れるのは時間が経つのははやいと、しみじみと思う。

 桐生さんは今日もアルバイトがあるらしく、ついさっき、喫茶店の方へと出掛けてしまった。

 寝起きのせいか、どこか重たい身体を起こして、私は鎖を引きずりながらトイレへと向かって用を済ませる。

 洗面所で顔を洗い、タオルで拭いてから鏡に目を向けた。……私、やっぱり痩せた……かな。見様によっては、やつれているようにも思える。


「はぁ……」


 重い溜め息を吐くと、再びジャラジャラと鎖を引きずりながら、ベッドに腰掛ける。

 目の前の机の上には、いつものように朝ご飯や昼ご飯、お茶の入った大きな容器などが置かれていたけれど、私は食べる気分ではなかったため、ベッドの上で横向きに寝転がった。

 ……誰がどう見ても、この生活に慣れてしまった自分がここにいる。

 今までの桐生さんを振り返ってみると、桐生一夜という人物のことが、改めて分かってきた。

 桐生さんは、私のためならば出来る限りのことはなんでもする。……これは、おそらく“愛しているから”……なんだろうけれども。

 決して嘘は付かず、話す内容はいつも直球で……私が「やめて」と言えば、大抵のことはやめてくれる。否、改善してくれる。
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