純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

「……一夜さん、ごめんなさい」


　今朝、いつものように里桜を会社まで車で送り届けている途中、彼女は申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にした。

　何に対しての謝罪か分からず、「ん？」と聞き返すと、彼女は怖ず怖ずと言葉を続けた。


「会社の皆さんと飲みに行くので、帰りが遅くなるかもしれません……」

「っ？！」

「きゃっ！」


　彼女の口から出た衝撃的な内容に、俺は思わず急ブレーキをかけていた。幸い、前の信号は赤だったので、周りのドライバーには迷惑はかけなかった、が……。


「それは、今日か？」

「は、はい」


　こくんと素直に頷く彼女を見て、反射的に溜め息を吐く。何せ、そんな話は初耳だ。

　盗聴器を通して彼女の様子を把握してはいるが、そんな話は耳にしなかった。なのにも関わらず、そういう話になっているということは……。


「メールか」


　携帯電話か、あるいはパソコンのメール機能で、誘いの連絡が入ったということ以外に考えられない。


「そうです……。今日、仕事が終わったら飲みに付き合えって、上司が……」

「……」


　よりにもよって、上司か。やすやすと断ることの出来ない相手から誘われたのか……なんて厄介な。

　里桜のことだから、俺のことを考えて申し訳なく思いながらも、引き受けてしまったのだろう。彼女は頼まれたら断れない性格だからな。