純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

 同じ家の屋根の下、俺よりもハロウィンについてやっている番組に夢中な彼女。

 キラキラと目を輝かせ、ワクワクと楽しそうにする里桜を見つめていると、(ハロウィンもそう悪くはないな)と勝手に思い始めていたのだが……。

 せっかくのふたり揃っての休日なのに、こうして俺の里桜を独占させてしまうのは、見ていて面白くない。

 さっきから里桜はまったく俺の方を向いてくれない。これならテレビなんてつけるんじゃなかった。いっそのこと、テレビなんて破壊してしまおうかとも考えるが、そんなことをしたら里桜は悲しむし、何より傷付く。それだけは絶対にダメだ。

 仕方ない、と小さくため息を漏らしたあと、俺もテレビの方を向く。ちょうど国民的なテーマパークが映っていて、司会者はもちろんのこと、最近話題になっている若い俳優と女優がハロウィンならではのイベントについて紹介していた。

 ……まさか、里桜。さっきからこの若い俳優が映っているから楽しそうなわけじゃ、ないよな?

 ドラマなんてまったく観ない俺は、当然ながら俳優や女優にも疎い。だが、里桜が観ているドラマにだけは興味があるので、観てしまう。今、放送中のドラマに、この若い俳優が出ていたのを思い出した。

 ……芸能人にまで嫉妬してしまうなんて、俺もまだまだだな。
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