純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「……お、おはよう……ございます」


 その挨拶に、どんどん声は小さくなっていくけれど、思わず返事をしてしまった私。……昨日のことを……意識、しているからなのかな……。


「……もう少しで篠原さんの朝食が用意できる」

「……はい」


 あっ、私の呼び方……“里桜”から“篠原さん”に戻った?

 昨日、何を思って私の名前を呼んだのかは分からないけれど、不思議と嫌な感じはしなかったんだよね。やっぱり変だな、私。

 台所からは美味しそうな匂いが漂ってくる。……たぶん、桐生さんは料理が上手なんだろうな。昨日の焼き飯も美味しかったし。

 料理は小さい頃から作っているのかな?どんな幼少時代を過ごしたんだろう?……そういえば、今、桐生さんって何歳なんだろう?

 次々に思い浮かぶ疑問を、頭を横に振ることで打ち消し、私は朝食が出来上がるのをベッドの上で静かに待った。


「……食え」


 しばらくして運ばれてきた朝食は、白米にお味噌汁に納豆にスクランブルエッグに焼き魚……って、私の家の朝食と似ている。

 これも私や、私の家族が気付かないうちに調べたの……?それとも、ただの偶然……?

 私は用意された箸を手にとり、桐生さんが作ってくれた朝食を口へと運んだ。

 最初の頃にあった、危険な薬が入っているんじゃないかという疑いは消えていた。桐生さんが料理をしている光景を見ていて、それらしい動きがなかったからかもしれない。
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