FAKE LOVE【密フェチ】
密かなイタズラ


「よくお似合いですよ―」

肩越しに店員さんの甲高い声が聞こえた。
試着室のカーテンが開き、ワンピ姿の女
のコがあたしの前に立つ。

「どう?似合ってるかな?」

なーんて言いたげに
モジモジしながら
上目遣いにをこちらを見てくる視線。

(似合ってるに決まってんじゃん)

不意に心が波打つ。
二つの相反する感情が入り交じる。

「すごーい。なんかモデルさんみたい!」

と、背後で再び店員の声。

(あーまた騙されてる。可哀想。。。)

今までこうして
何度、ショップのスタッフさん達を欺いてきたことだろう。

あのね、店員さん。
ことわっておくけど
あなたが今褒めているそのお客さん
♀じゃなくて♂だから......。



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