†魔界戦記†

小さい頃から
俺の左手はいつも
アイツの手を掴んでいた。

親からも言われてたんだ。
しっかり掴んで離すなよ
ミストは危なっかしいから
カエンがしっかり
してな・・・って。

それが・・・
俺の使命だって
ずっと思っていた。

誰がこんなコトをした??

誰がいったいミストを??

俺は・・・俺は・・・














え・・・俺が・・・?

ミストを犠牲にしたのは
・・・俺か??




ミノタウロスが真っ直ぐ
大斧を振り下ろす。


ドコォォォ


悶絶するミノタウロス。

カエンの放った
渾身のリバーブローが
ミノタウロスを捉えていた。


「アがァァグ」


声にならない悲鳴を上げ
膝をつくミノタウロス。

目の前には・・・カエン。


「これでやっと拳が届くな」


そう言うと魔力を
左手に練っていくカエン。


「まだ・・・まだ
死ぬワケにはいかねーんだ」


腰の辺りに左手を構え
それを真っ直ぐ敵に放つ。

アッパーとは
少し違う拳撃
【スマッシュ】の要領で


「うらァァァ!!」


火の特性である
爆発力を生かして
強度とスピードを
高めた拳が敵を貫く。


【旋火】


ミノタウロスの巨体が
一回転・・・二回転
三回転して地面に激突する。

場内はしんと
静まり返っていた・・・。

はっ、と気づいたように
クルーゼが叫ぶ。


「カ、カエン選手の勝利!!
二次審査出場決定
最後の1チームは
チームディアブロ!!
盛大な拍手を!!!」


途端に会場中が
拍手の嵐に包まれる。


「へへっ、やったぞ
みんな・・・
ミストにも、謝る前に
死ねるかよ」


そう呟くと
闘技場のド真ん中に
倒れるカエン。

そして・・・


















新たな戦いの幕が開く。
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