最初で最後の恋文
久しぶりのHRは担任のどうでもいい話で時間が流れていき、少し眠たい目をこすりながら真琴はHRが終わるのを待っていた。
やっと、担任の話が終盤を迎えたと思っていたら、クラスの数人の名前が呼ばれて放課後に職員室まで来るように告げられた。
もちろん、その数人の中に真琴の名前も入っており、茜の名前も入っていた。

真琴と茜は渋々帰りに職員室に寄ると、担任の話は始まっていて、

「遅い!宮崎と水瀬はコイツ達から話を聞くように。」

と担任はそう言って、職員室から出ていった。

コイツ達とは、さっき担任に呼ばれた人達だった。

真琴と茜は呼ばれた人達に話を聞くと、担任があたし達を呼んだのは、卒業アルバム作りのことだった。

この学校には、卒業アルバムが二つある。
一つは、学校側が作ってくれる三年間通しての卒業アルバムで、もう一つは、生徒が作るクラスアルバムだ。
受験で合格した人は、この時期は授業もなく、ほとんどは受験者のためのセンター対策の時間ばかりになるので暇になる。
だから、合格者は毎年この時間を使ってクラスだけのアルバムを作っていく。

アルバムといっても、それほど難しく作るわけでもない。
この一年間にあった行事や授業風景を撮った写真にコメントやクラスで起きた出来事を書いたりする。

この学校の卒業記念の一つである。
クラスのアルバムは、卒業式後の打ち上げで配り、みんなで見合いながら思い出を振り返るのが、伝統になっている。
何年も続いているから、先生達も協力をしてくれている。
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