濡れて乱れて
「丈の黒い綺麗な髪が濡れて乱れてる姿が、一番好きなの」


 告白した時と同じくらいの緊張が、私の身体を突き抜ける。

 耳まで真っ赤になっている私を見て、丈は一瞬目を丸くして、それから口元にちょっといたずらっ子を思わせる笑みを浮かべると、有無を言わせぬ速さと強引さで私の身体をふありと抱き上げた。


「ちょっと?」


「楓花のお気に入りの服、濡らしちゃうけどごめんね。

 明日、新しい服買ってあげるから許して?」


 言うやいなや、ずんずんとバスルームに入っていき、私を抱きかかえたままシャワーを流す。
< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop