SD殺人事件
高くんがとり続けた奇抜な行動のおかげで真相に大幅に近づいた俺と太ちゃん。
しかし何もわかっていない高くんに二人で磯俣殺しのトリックを説明した。
「あ、でも支配人のタバコには一体どうやって毒塗ったんやろ?」
太ちゃんが自販機のコーヒーのボタンを押しながら俺の方を見て言った。

ガチャン。

「誰も事務所いーひん時にさっさと塗って、放置したんちゃう?」
タバコに火をつけながら返すと、
「なんでですかー?」
高くんが片手に自分の携帯、
もう片方の手に毒物検知機を持ち不思議そうに見比べながら言った。

彼の興味の対象は一体何なんやろ?
両手に持ったコンパクトなふたつの機械?
それともこの事件?
まあ、いいかほっとこ。

「深く考え過ぎてるから、変に疑問に思ってしまったんかな?そらそうやな。事務所はカメラもついてへんねんし、誰かに見つからん様に毒塗るだけでいいもんな。でも、なんで支配人のタバコはわざわざ全部に毒が塗ってあったんやろ?」
言ってからコーヒーをクイっと飲み考え込む太ちゃん。
「一刻も早く支配人に死んでほしかったんちゃう?どのタバコ吸っても死ぬ様にして。」

「なんでですかー?」
「××××××。って思い込みを植え付けるため。んな、よけいに必死になってカメラ確認で磯俣のタバコに注目するやろ?」

「あ、そっか!」
「んな、さっさと犯人捕まえに行きましょ。」
言うと同時に休憩所を出て行こうとする高くん。
あわててタバコの火を消しながら、
「おい!高待てって!まだ証拠ないやろが。アイツが犯人やって証拠が!」
太ちゃんが言うとすかさず、
「証拠ならそこにあるやん。」
フ~ラフラとクネクネ高くんが自販機の方へと歩いて行って、バンっと自販機を平手で叩いた。

「はよ事務所行こ。」
そう言って高くんは休憩所から出て行った。
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