うさぎ と くま の物語 (完)
「えー、うさぎちゃん、ちっちゃいしフワフワだし、気持ちいいんだもん」
佐崎センパイはあろうことか、私の頭の上に腕を乗せたまま、片方の手で私の頬をムニッと軽くつねった。
その瞬間、外からの女の子たちのさらなる悲鳴。
『私にもそれやって~!』…って。
いやいやいや!
変顔になるけど、いいんですかっ!?
そんな女の子たちの声はお構いなしに、佐崎センパイは私の頬をむにむに触る。
「ちょ…!だもん、じゃありませんっ!てばっ!」
ペチッ、と佐崎センパイの手をはらうように軽く叩く。
「……うさぎちゃん……最近、梨乃化してきたね………良くない傾向だよ?」
佐崎センパイの残念そうな声が降ってくる。
と同時に
バシッ!
梨乃センパイの平手が、佐崎センパイの頭にクリーンヒットした。
「って!何するんだよ、梨乃っ」
「あーら?何かあった~?ねぇ?うさぎ」
それはそれは美しーい笑顔で、私に同意を求めてくる梨乃センパイ。
きゅっ、急にこっち振らないでくださいっ!
ていうか、その笑顔、怖いですからっ!
「え…あはは~」
私は笑うしかなかった。