うさぎ と くま の物語 (完)
 

―――ある日、怒鳴り声が柔道場内に響いた。


「気ぃ抜くな!少しの油断が命に関わるんだよ!」


………いつも寡黙に練習をしていた大きな人…この時は篠田センパイの名前は知らなかったんだけど…の声だった。


柔道場内だけじゃなくて、外にいた私たちギャラリーにも、シーンと緊張した空気が張り詰めた。


「……外、走ってこい」


「――――はい」


怒鳴られた人が柔道場から出ていくと同時に、他の部員は再び練習を始める。


大きな人も。


「うわー…怖い人だね」


私の隣にいた友達が耳打ちしてくる。


「うん…ビックリしちゃったね」


私も同意する。

 
< 29 / 122 >

この作品をシェア

pagetop