うさぎ と くま の物語 (完)
「あーもう!うるっさい!」
………いや、イライラしてました…。
梨乃センパイは男の人に向かって、ウザそうに言葉を放っていた。
ん…?
あの男の人、誰だろう?
「うさぎちゃん、あれ見るの初めてか」
「あ、はい…」
「大会がある時は、いつものことなんだよねー。あいつ高校違うし、こういう時しかチャンスないから。梨乃のこと好きみたいだよ?」
佐崎センパイが笑顔で説明してくれる。
「えっ!そうなんですかっ!?……さすが、梨乃センパイ…」
おモテになっしゃる…。
「………まぁ、見てらんないよね」
「―――!」
ボソッと聞こえた言葉に、私は佐崎センパイのことを見上げる。
佐崎センパイは…ちょっと照れたように笑ってた。
………やっぱり、梨乃センパイのこと…!
「わ、私!佐崎センパイのこと、応援してます!」
「ありがとう。うさぎちゃん」
佐崎センパイの手が私の頭を撫でる。
やばーい!
顔が緩むっ。
ドキドキするっ!