うさぎ と くま の物語 (完)
 

「あーもう!うるっさい!」


………いや、イライラしてました…。


梨乃センパイは男の人に向かって、ウザそうに言葉を放っていた。


ん…?


あの男の人、誰だろう?


「うさぎちゃん、あれ見るの初めてか」


「あ、はい…」


「大会がある時は、いつものことなんだよねー。あいつ高校違うし、こういう時しかチャンスないから。梨乃のこと好きみたいだよ?」


佐崎センパイが笑顔で説明してくれる。


「えっ!そうなんですかっ!?……さすが、梨乃センパイ…」


おモテになっしゃる…。


「………まぁ、見てらんないよね」


「―――!」


ボソッと聞こえた言葉に、私は佐崎センパイのことを見上げる。


佐崎センパイは…ちょっと照れたように笑ってた。


………やっぱり、梨乃センパイのこと…!


「わ、私!佐崎センパイのこと、応援してます!」


「ありがとう。うさぎちゃん」


佐崎センパイの手が私の頭を撫でる。


やばーい!


顔が緩むっ。


ドキドキするっ!

 
< 43 / 122 >

この作品をシェア

pagetop