冬の花
あんなに傷つくのが怖くて
友達すら作らなかった私が
「人とこんなに触れ合ったの初めて。
温かいんだね、人って。」
握られたままの手を優しく包み返した
ゆっくりと目を瞑り
私と桜木くんの鼓動を聞く
ドクンッ
ドクンッ
ドクンッ
ドクンッ
私と同じ速さで脈が打たれて
私のなかの不安は自信にちょっとだけ変わってく
片目だけ開けて桜木くんを見ると
桜木くんも私と同じように目を閉じていた
私はすっと手をほどき笑う