冬の花




あんなに傷つくのが怖くて

友達すら作らなかった私が




「人とこんなに触れ合ったの初めて。

温かいんだね、人って。」



握られたままの手を優しく包み返した






ゆっくりと目を瞑り

私と桜木くんの鼓動を聞く




ドクンッ

ドクンッ



ドクンッ

ドクンッ





私と同じ速さで脈が打たれて

私のなかの不安は自信にちょっとだけ変わってく




片目だけ開けて桜木くんを見ると


桜木くんも私と同じように目を閉じていた




私はすっと手をほどき笑う


< 192 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop