いちごみるくちょこ
「はずなのに?」


「その傷大輔がピアノを買った当日に彫ったものなの。
よく見てみて?
下手くそだけどその傷『R&D』って彫ってあるの。
レナのRに大輔のD。
バカよねー。」


嬉しそうに笑いながらいったお母さん。

このときあんな夫婦になりたいって心から思ったんだ…


「お母さん。
わたし…もっとピアノ上手に弾けるようになるよ。
お母さんよりね!」


「永愛ならすぐに上手になるわ。」


そういって笑ったお母さんの顔…今思い出した。











「永愛ちゃんー?
楽譜、この下に入り込んじゃったかしら?」


ボーッと考え込んでたからいきなり声をかけられてビクッとした。


「あっ…この傷って…?」


「あぁ、それ?
中古のピアノだからね。
もとからついていた傷よ。
中古のピアノは前の持ち主の思い出がつまっているから…そう思えばその傷もぜんぜん嫌に思わなかったわ。」


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