いちごみるくちょこ
この傷は…不器用なお父さんが彫った『D&R』だった。


「その傷彫ってあると思うんだけどなんて彫ってあるのか分からないのよねー…」


「『D&R』って…彫ってあるんです…」


「え…?

たしかにー…
そう見えなくもないけど…どうして…?」


「このピアノ…
ッふ…わたしのっ…
っく……」

我慢してた涙がとうとう溢れ出た。

最近涙腺がゆるくなっちゃった…


「え!どうしたの!永愛ちゃん!」


「秋波さん…ん…ッ
これ…うちにあったピアノなんです…ッふ」


「うん…うん。」


背中をゆっくりさすりながらわたしの言葉を聞いてくれる秋波さん。


「なつかしくって…
ごめんなさい…
わたし…」


「ゆっくりでいいのよ。ね?」






秋波さん。
こんなにやさしくしてもらっていいのかってぐらいやさしくしてもらってピアノにも巡りあわせくれた。


でもその前に…秋波さんに会わせてくれたのは…斉藤龍、だったんだよね。

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