HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「それで、昨日はるくんのクラスに行ったら、その舞ちゃんがはるくんの隣の席だったの! でもすっごく分厚い眼鏡をかけていて、休み時間中ずっと一人で読書してるみたいで、昔と少し印象が違うっていうか……。その舞ちゃんをはるくんがちょっかいかけてるんだよね?」

「まぁ、否定はできないな」

 遠藤さんがクスッと笑った。

「はるくんって案外子どもっぽいところあるんだ」

 ――俺が子どもっぽい?

「いや、違うんです」

 慌てて反論する。

「からかうと反応が面白くて」

「それ、酷いじゃない!」

 英理子の俺を見る目が冷たいものに変化した。更に俺は慌てる。

「いや、だって普通に話しかけても必要最低限のことしか返事してくれないし、どっちかっていうと、俺、避けられてるし。でも、からかうとこっちの予想以上に反応してくれて、それが素でかわいいっていうか。昨日の帰りなんかすっげーおかしくて、久しぶりに爆笑したし」

 それから俺は昨日の下校時に起こった人攫い事件について、かいつまんで英理子と遠藤さんに話して聞かせた。まぁ、当然自分に都合の悪いところは端折ったけれども……。

「舞ちゃんってそんなにかわいいの?」

 遠藤さんがぶしつけにそう言った。

「たぶんかわいいっていうより、男からするとおとなしくて言うこと聞きそうに見えるんじゃ」

「いや、普通にかわいいでしょ」

 英理子が自信満々に俺の発言を否定した。

「眼鏡なければね」

「いや、眼鏡しててもかわいいでしょ。それに世の中には眼鏡ッコ好きだっているんだし、舞ちゃん一人で帰るのは危険すぎるわ。そうだ、決めた! 明日から哲史さんのお迎えついでに私が舞ちゃんと一緒に帰るわ」

 おいおい、英理子。なんでそうなる?

「確かに、英理子と一緒なら安心だよね」

 おいおい、遠藤さん。そりゃ、英理子は見た目からは想像もつかない怪力で、空手なんか習っちゃってるけど。
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