HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 こんなとき大声を出すべきだと思うが、声すら出ない。

 車に乗せられたら最後、何されるかわからない。いや……本当に最期かもしれない……。

 絶対絶命!!!

 離せ! こらっ!! はなせーーーーーっ!!

 腕をねじったり、身体だけ車から遠ざかったりしてみたけど、男の人の力にはかなわなかった。



 ……もう、ダメ……。



 抵抗する力がなくなりかけたそのときだった。



「高橋さん」



 最近よく聞きなれた声が後ろからした、と同時に私の腕はパッと男から解放され、反動で私は道端によろめいた。

「危ない!」

 車は突然スピードを上げて去った。

 私は倒れる寸前、自転車の清水くんに何故か抱きとめられていた。……というか、抱きついていた。



「うぎゃっ! ……ご、ごめんなさい!!」

「大丈夫? ていうか、何あれ?」

「ひ、ひ、ひっ……」

「……?」

「人さらいっ!!!!!」

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