もっと…もっと…
洞窟の中は入り口とは裏腹に狭かった。
奥へ進めば進むほど、道幅が狭くなっていった。
「足元気をつけて。」
暗い上に足場も悪い。
優奈は先程から何度も転びそうになっている。
「やっぱりこんな所にいないよ。宏汰、そろそろ戻ろ?」
「もう少しだけ。あ、分かれ道だ。」
左右対称に広がる道。
「まずいよ。迷ったら出られなくなっちゃう…」
「じゃあこうしよう。分かれ道は毎回右に行く。そうすれば帰りは左を選べばいい。な?」
「大人しく戻った方がいいってば!」
「ここまで来て戻るなんてもったいない。もう少しだけ捜していこう。」
もしかしたらこの時、俺は操られていたのかもしれない。
もっと先へ進みたいという欲求が俺の背中を後押ししていた。
「…宏汰…………」
ただ夢中だった。
先へ進むことに。
優奈の声も届かないくらいに。