もっと…もっと…

「そんな顔するなよ。大丈夫だって」
「うん……ってどこ行くの?」

歩き始めた俺を優奈が引っ張った。


「どこって…中捜しに行くんだよ。」
「や、やめようよ!一旦戻ろ!もしかしたら旅館に戻ってきてるかもしれないでしょ?」



一理ある。
けど、もし戻ってきていなかったら…
もう一度ここまで来るのは辛いものがある。


「そんなに奥まで行かないよ。」
「でも何か怖い……」


怖くない、と言ったら嘘だ。
でも好きな人の前で怖じ気づいてはいられない。


「怖くなんかないよ。俺がいるだろ?」
「でも………」
「そんなに嫌なら、ここで待ってるか?」
「それは嫌!絶対嫌!!」


優奈は必死に振りかぶった。
俺は苦笑して、右手を差し出す。


「ほら、行こう。一緒なら怖くないから。」


優奈は渋々と言った様子で、俺の手を取った。



そして俺は、踏み込んでしまった。

自らの意志で……

これから始まる恐怖の物語に……。



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