Steady
春日さんの後ろから、

スラリと背の高い1人の男性が

私たちの前に姿を見せた。


「じゃ、皆さんごゆっくり」

そう言い残すと、

春日さんはまた出入口の

小さなテーブルへと

戻っていった。


私たちの目の前にいる

背の高い男性が、

ふっと微笑んだ。


釣り目で切れ長だけれど、

優しさあふれるその表情。


「敦……!」


私の口からずっと

言えずにいたその名前。


大学での再会以来、

ずっと言いたかったその名前を、

今、ようやく敦の目の前で

言うことが出来た。


ようやく言えたその名前に、

私の胸がいっぱいになる。


私の呼びかけに、

敦はさらに目を細めて

にこっと笑う。


「よう、彩加。それに吉野谷」




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