Steady
「久し振りに会ったからって

 何言うかと思ったらさ。

 忘れるはず、ねーじゃねーか。

 『草壁彩加』さん」


「で、でも……大学で会った時、

 敦、私のこと全然……」


それを訊いた

敦の表情が一瞬にして曇る。


私、敦に悪いことでも

言ってしまっただろうか。


不安で胸の奥が苦しくなる。


敦は少し上を見上げてから、

「“大学”って何だよ?

 俺、働き始めてもう

 4年経つんだけど」

とさらりと口にした。


敦が社会人として働いてる?


じゃ、大学のゼミが一緒の敦は?


今の言葉を上手く

受け止められず言葉に

詰まっていると、

敦がダメ押しするかのような

ことを言った。


「大学なんて

 あんなかったりートコ、

 絶対いかねーし」




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